アナナスの花ことば

私にとってあなたは最愛の人です

アナナスの花ことばをお話しするには、その親であるパイナップル(pineapple)を避けて通ることはできません。書物によっては、パイナップルの花ことばを、そのままアナナスのものとして紹介されていることが多いのです。

パイナップル(pineapple)

花ことばは「あなたは完全です」

熱帯では特徴のある果物が多くみられますが、そのなかで一番産額が多く、よく知られているのはバナナで、その次はパイナップル(パイン)です。私たちが普通パインの「果実」といっているのは、正しく言えば果実のかたまりで、外側の一区画ずつになった「眼」(英語ではeye)が一個の花の果実なのです。

パイナップルは、コロンブスのアメリカ発見(1492)以後、新大陸からヨーロッパに伝えられたさまざまの植物の仲間ですが、ヨーロッパで栽培されだしたのは18世紀に入ってからでした。

パイナップル(pine apple)というのは中世英語で「末の実」だったのですが、のちアメリカからきた松の実に似た果実の名前になったと『オックスフォード辞典』にでています。したがって、アップルというのは単に「果実」という意味で、馬鈴薯をフランスとドイツで「地中のリンゴ」と呼んでいるのと同じででとなのです。

パイナップルはパイナップル科で、学名の「アナナス・コモスス」(Ananas comosus)は「長い束毛のあるアナナス」という意味で、フランス、ドイツ、スペイン、ポルトガルなどではAnanasという学名(発音はフランス語ではアナナ)を、そのまま使っています。

アナナスはグァラニ・インディアン族の言葉で、aは果実の意味、nanaは「すぐれたもの」という意味だと専門家はみているようです。このインディアン族はパラグアイが出生地で、コロンブス以前に北のほうのパナマ方面まで移住して、「すぐれた果実」を広めたので、初期のスペイン人はこの果実を西インド諸島やメキシコの各地で発見したそうです。

中国では鳳梨(フォンリー)と書くので、わが国でもこの漢字で書かれることがあります。戦前の『牧野日本植物図鑑』にはアナナス(鳳梨)となっていたが、戦後の新版では「ぱいなっぷる」(アナナス)となっています。台湾には「オンライ」という地方名があります。

花ことばは「あなたは完全です」(英)、「完全」「あなたは結合する、和合させる」(仏)という意味になっています。いずれも上述のように、たくさんの果実が一つに結合して和合している有様から生まれています。

アナナス(ananas)

花ことばは「あなたは私にとって最愛の人です」

一方、アナナスは「鮮やかな色彩と力強い存在感」が特徴で、パイナップルのよさは「力強い存在感」として受け継がれています。しかし、アナナスの魅力は、なんといっても「鮮やかな色彩」です。したがって、アナナスの花ことばは、「あなたは完全です」といった無機質な意味でなく、「私にとってあなたは最愛の人です」といった解釈で使われているようです。  バラのように、穏やかでやさしい愛とは違い、ストレートで力強い愛情を意味します。

また、茎に水をためる性質から、「たくわえる」という意味もあり、「商売繁盛」「健康祈願」といった解釈でも使われているようです。